長距離トラックドライバーの種類や仕事内容とは?年収や必要免許まで徹底解説!

    長距離トラックドライバーとは、その名の通り長距離間を走って荷物を運ぶドライバーのことです。県をまたいでの移動も多く、トラックドライバーのなかでも高給なイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。

    この記事では、気になる長距離トラックドライバーの種類や仕事内容、メリットや年収、必要な免許などを詳しく解説します。自分が長距離トラックドライバーに向いているかどうか見極めるために、この記事をぜひチェックしてみてください。

    長距離トラックドライバーとは?

    トラックドライバーの仕事は荷物を指定された場所まで運ぶことですが、長距離トラックドライバーの「長距離」という言葉に明確な定義はありません。輸送業界の中で感覚的に使われている言葉なので、事業所や個人によってイメージが少しずつ異なるかもしれません。

    国土交通省の資料では、長距離トラックドライバーと中・短距離トラックドライバーを走行距離500㎞で区分しています。いずれにせよ県をはるかにまたいだ長距離で荷物を配送する仕事です。* 1

    固定(会社所属)とフリー

    長距離トラックドライバーは、会社に所属している運転手とフリーの運転手がいます。

    会社所属の場合は雇用契約を結んで会社員として働き、運ぶ荷物も給与も固定です。昇給制度が設けられており、業績や能力、勤続年数によって昇給するのが一般的です。会社が取引先と契約を行うため、自分自身で契約する必要はありません。

    一方フリーの運転手は、個人でトラックを所有して、取引先と直接契約を結びます。運ぶ内容が固定の案件もありますが、毎回荷物の内容や配送先が変わるケースも珍しくなく、スケジュール管理や顧客対応などもドライバーが行わなければなりません。ただ、固定の運転手と違ってマージンが発生しないため、頑張れば頑張るほど報酬がアップします。固定のドライバーのような安定はありませんが、高報酬を得られる可能性があります。

    昼型と夜型

    稼働する時間帯によって、長距離トラックドライバーは昼型と夜型に分けることもできます。昼型長距離トラックドライバーは、朝のうちに荷物を積み込み、夕方から夜にかけて目的地への到着を目指します。配送先によっては出発が早朝になることも多いでしょう。場合によっては、即日配送など急ぎの荷物を配達することもあります。

    夜型長距離トラックドライバーは、夜間にトラックを走行させて荷物を配送します。深夜の時間帯に多くのトラックが高速道路を走っているのを見たことがあるという人もいるのではないでしょうか。夜型の長距離トラックドライバーは、1日では走り切れない距離を移動することも多く、昼間に休憩を取りながら数日かけて目的地を目指すケースもあります。夜間は渋滞を回避しやすく、夏場は冷房分のガソリンを節約しながら走れるのが夜型のメリットです。

    長距離トラックドライバーの仕事内容とは?

    長距離トラックドライバーは、毎回同じ走行ルートで荷物の配送をする「指定便」と、仕事ごとに契約を行い、その都度ルートが変更になる「チャーター便」の二種類があります。

    配送する荷物は、食料品や日用品、工事の資材、ガソリンやガスなどの危険物、家畜など、さまざまです。危険物を運ぶ場合は特定の資格が必要になることもあります。

    長距離トラックドライバーは、1日の大半をトラックの中で過ごします。積荷や荷下ろし、顧客とのコミュニケーションを取ることもありますが、ほとんどの時間は運転での移動に費やすのが特徴です。

    長距離トラックドライバーの仕事は体力的にきつい?

    常に長距離を移動するため、長距離トラックドライバーに対して体力的にきついイメージを持っている人もいるかもしれません。仕事のハードさはここまで紹介した働き方や所属する企業、契約する取引先によって変わってきます。長距離トラックドライバーになる場合は、条件や仕事内容をしっかり確認するようにしましょう。

    国土交通省の資料によると、トラックドライバーは労働時間が全職業平均より約1〜2割長く、時間外労働時間も約2〜3倍の長さと他の職業よりも少しきついということがわかります。しかし、社会の重要な輸送インフラであるトラックドライバーの労働環境を変えるべく、さまざまな対策が取られています。*2

    2024年からは、厚生労働省が推進する働き方改革法がトラック業界にも適用されるので、今後ますます労働環境が改善されていくことが期待されています。

    長距離トラックドライバーの一日

    それでは、長距離トラックドライバーは具体的にはどのような一日を過ごしているのでしょうか。契約形態や昼型・夜型などでも異なりますが、ここでは長距離トラックドライバーの平均的な一日の流れを紹介します。

    • 出勤&仕事の確認

    出勤したら、その日の業務情報確認が一日のスタートです。積み込み先・荷下ろし先・貨物情報とともに、交通状況や経路を割り出します。また、この際にアルコールチェックが行われます。

    • 荷物の積み込み

    積み込み先に向かい、荷物を積み込みます。固定ドライバーの場合は配送が専門となり、積み込みは現場の作業員が担当するケースもよくあります。フリーのドライバーの場合は、自分で積み込みを行うことも多いため、フォークリフト資格があると請け負える仕事の幅が広がります。

    • 荷下ろし先に出発

    適宜休憩をとりながら、荷下ろし先に向かいます。高速道路を使う場合はどのサービスエリアでも大型トラックを停められますが、一般道を使う場合は大型トラックを停めることのできる場所は限られます。経路を割り出すときは、休憩する場所も考慮しておかなければなりません。

    • 荷下ろし先へ到着

    決められた時間までに荷物を届けられるよう、時間を調整しながら荷下ろし先を目指します。余裕を持って到着した方が安心ですが、早すぎる場合は付近で待機する必要もあるでしょう。より効率的に稼ぎたいフリーのドライバーであれば、帰りにまた違う荷物を積んで戻ってくることもあります。

    意外と快適?トラックの中での生活

    稼働中ほとんどの時間をトラック車内で過ごす長距離トラックドライバーにとって、車内は第二の家のようなものです。サービスエリアなどの休憩所で休憩を取ることもありますが、車内で休憩することも少なくありません。

    そのため、多くの長距離トラックドライバーは自宅の一室のように車内を充実させています。座席の後ろには寝台スペースがあり、そのスペースには布団セットが必須です。トラック用の布団セットやマットレスが発売されており、お気に入りのベッドスペースを作れます。

    また、サービスエリアの入浴施設やコインシャワーを利用することも多いので、入浴セットも欠かせません。タオルなどのレンタルがない場所もありますし、毎回購入するのはお金がかかるので、入浴セットも多くのドライバーが車に置いています。運転中はスマートフォンを触ることはできませんが、ハンズフリーのイヤホンマイクを使って会社とのやりとりを行う人も多くいます。

    これ以外にも、多くのドライバーが車載テレビやノートパソコン、モバイルルーター、冷蔵庫や炊飯器などトラックでの生活を快適にするアイテムを載せています。トラックドライバーが車内で作る「トラック飯」は、今YouTubeなどでも人気の料理です。

    長距離トラックドライバーのメリット

    長距離トラックドライバーになると、どんなメリットがあるのでしょうか。ここからは長距離トラックドライバーの4つのメリットを紹介します。

    いろいろな地域を楽しめる

    長距離トラックドライバーは県をまたいで移動するため、いろいろな地域に行きます。その地域ならではの風景やグルメを楽しめるのは、大きなメリットと言えるでしょう。サービスエリアなどでご当地グルメを楽しむドライバーは少なくありません。また、その土地の歴史の他、抜け道などにも詳しくなれます。

    自分だけの時間を満喫

    稼働時間のほとんどを車内で過ごすため、自分に合った空間で自分だけの時間が過ごせるのも長距離トラックドライバーのメリットです。

    到着時間は常に意識しなければなりませんが、人間関係の煩わしさはありません。ハンズフリーのイヤホンマイクを使えば、いつでも家族・恋人・友達と話せるので、孤独も感じにくいでしょう。

    物流という社会インフラの担い手としてのやりがい

    物流は重要な社会インフラで、物流なしには人々の暮らしは成り立ちません。身の回りにある品物一つとっても、製造から流通、販売まで物流なくしてエンドユーザーの手に渡ることはありません。

    長距離トラックドライバーは、その物流を直接支える重要な仕事です。大きなやりがいをもって働くことができるでしょう。

    未経験からでも挑戦しやすい

    未経験でも挑戦しやすく、特に若手は重宝されるのも長距離トラックドライバーのメリットです。教育体制を充実させている企業が多いため、未経験でも業務に必要なスキルや知識をしっかり学べます。

    長距離トラックドライバーとして活躍している人の中には、異業種から転職した人も多くいます。接客業やサービス業など、前職で培った経験を活かして活躍できるでしょう。またさまざまなバックグラウンドを持った人と一緒に仕事をするのは、自分の視野を広げるよいチャンスといえます。

    長距離トラックドライバーに向いている人とは?

    自分だけの空間で人間関係に煩わされることなく仕事ができ、働き方によっては高報酬も目指せるのが長距離トラックドライバーです。では、どんな人が長距離トラックドライバーに向いているのでしょうか。

    運転・車が好き

    仕事の大半が運転での移動となる長距離トラックドライバーは、運転が好きなことがマストな条件です。元々ドライブが好きで長時間の運転が苦にならず楽しめる人はとても向いている仕事でしょう。全国各地に配送するので、旅行好きの人にも向いています。

    他にも、移動中カーオーディオで音楽を聴くこともできるので音楽好きな人、休憩中に写真を撮ることもできるので、カメラが趣味の人にも向いているかもしれません。

    責任感がある

    大切な荷物を安全に、時間通りに運ぶことが長距離トラックドライバーの大切な仕事です。そのため、常に安全運転を意識でき、時間通りに業務を遂行できる責任感のある人が向いています。

    一人で仕事を行うことが多いため、常に責任感を持つことは重要です。注意力があり、真面目で慎重な人も長距離トラックドライバーに向いています。

    長距離トラックドライバーになるには?

    社会にとって欠かせない仕事で、メリットも多い長距離トラックドライバーになるにはどのような資格が必要なのでしょうか。必須資格やあると便利な資格を紹介します。

    必要な資格が中型・大型免許

    長距離トラックドライバーを目指すなら、中型免許か大型免許を取得しておきましょう。各種免許の取得サポートを行っている企業もあるため、免許を取得していない人はサポートがある企業の求人に応募してみるのもおすすめです。

    厚生労働省による「教育訓練給付制度」を使うと、講習料金の20%(最大10万円)が助成されるので、ぜひ活用してみましょう。*3

    運ぶものに応じて必要な資格も

    固定ドライバーの場合、荷物の積み込みや荷下ろしは現場の作業員が行ってくれることも多いですが、場合によっては自分で積み込み・荷下ろしを行わなければならないこともあります。フリーの場合は、積み込み・荷下ろしができるかどうかで受けられる仕事も変わってくるでしょう。フォークリフトやクレーンの資格を持っていれば、挑戦できる仕事の幅が広がり、給与・報酬が上がる可能性があります。

    また、総重量750kg以上の車両を引っ張る場合は、けん引免許が必要です。高圧ガスを運ぶ場合は、高圧ガス移動監視者資格や危険物取扱者の資格が必要になります。危険物取扱者の資格は、ガソリンなどの危険物を運ぶ場合も必要です。こういった資格も、事業者が取得をサポートしてくれるケースがありますので、持っていない場合はサポートの有無を確認してみましょう。

    女性も増えてきている長距離トラックドライバー

    長距離トラックドライバー=男性の仕事というイメージがあるかもしれませんが、長距離トラックドライバーは男性でも女性でも必要な免許があれば、誰でも挑戦できる仕事です。最近は女性ならではの気配りやコミュニケーション力の高さを求めて、女性を積極採用している事業者も増えて来ています。

    荷物の積み込みや荷下ろしがない仕事なら女性でも働きやすく、さらに積み込みや荷下ろしが必要な場合に備えてフォークリフトの免許を取得しておくと安心です。

    女性トラックドライバーは増えてきていますが、まだまだ男性の方が多い業界です。働きやすい環境で活躍するためには、すでに女性トラックドライバーが在籍している会社を選んでみるとよいでしょう。

    女性の活躍促進のため、国土交通省ではトラガール促進プロジェクトを行っています。女性トラックドライバーとして活躍している人のインタビューなども閲覧できるので、気になっている人はぜひチェックしてみてください。

    国土交通省:トラガール促進プロジェクト HP

    https://www.mlit.go.jp/jidosha/tragirl/

    長距離トラックドライバーの年収は?

    国土交通省の発表によるとトラックドライバーの年収は、長距離トラックドライバーが多く運転する大型で447万円、中小型で399万円です。*4

    長距離トラックドライバーは、労働基準法で深夜手当(基礎賃金の25%以上を上乗せした額)を支払うことが決められている深夜22時から翌日5時までの時間帯に働くことが多く、その分給料が高くなる傾向があります。

    また、基本給に歩合制を導入している事業者も多くあるので、長距離を走った分売り上げが伸び、歩合給に反映されることもあります。もしくは長距離を走行することで、運行手当をもらえる場合もあるでしょう。

    長距離トラックドライバーは大変だがメリットも多い

    この記事では長距離トラックドライバーの仕事内容やメリット、必要な資格や年収などを紹介しました。仕事の大半が運転となる長距離トラックドライバーは、体力や責任感が必要ですが、自分だけの空間で自分の時間を楽しみながらできる仕事です。

    短中距離トラックドライバーと比較すると、年収も高くなることが多く、フリーのドライバーなら頑張り次第で報酬アップも可能です。車の運転が好きなら、日本の輸送インフラを担う長距離トラックドライバーを目指してみてはいかがでしょうか。

    *1出所:国土交通省「トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)」P43 https://www.mlit.go.jp/common/001128767.pdf/

    *2出所:国土交通省「自動車運送事業の働き方改革について」P1

    https://www.mlit.go.jp/common/001220623.pdf

    *3出所:厚生労働省「教育訓練給付制度」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html

    *4出所:国土交通省「トラック運送業の現状等について」P2

    https://www.mlit.go.jp/common/001242557.pdf